川端康成先生「少年」について、3回目の記事になります。
※2022.11.1追記して相関図の場所なども編集しました。
未読の方はどうぞ過去記事からご覧下さい。
「少年」に出てくる日記や手紙には、意外に沢山の人物が名字だけで登場します。
読んでいてごちゃごちゃしてきたので、備忘録として纏めます。
一応こんな感じになるだろうと思う主要人物の相関図も作ってみました。字がちょっと潰れてるかも…すみません。思いの外、清野少年が下心ありの人達に狙われていたことが分かりました。やっぱり顔も可愛かったんじゃないでしょうか。
※字が荒いのでpixivに同じ画像を載せました。
https://www.pixiv.net/artworks/92793586
学年は大正5年4月〜6年3月の時点のもの。また、「當用日記」(「川端康成全集補巻1」(新潮社、1999年版)に収録)、他の本、Wikipediaから拾った情報なども交えてあります。
以下、BL・同性愛の話題ありです。
①宮本
川端康成先生ご本人。「川端」は本名なので、何故「宮本」なのかは不明。
(※追記。身体の弱かった亡父・栄吉が徴兵制度を免れる為に、養子縁組をして一時期宮本姓を名乗っていたらしいのでそこからか?)
大阪府立茨木中学の5年生。寄宿舎で5号室の室長(部屋は1〜10号室まである模様)をしている。幼い頃から両親・姉・祖母が相次いで亡くなった後祖父と2人で暮らしていたが、その祖父も亡くなって、4年生の春から寄宿舎に入る。親戚が後見人になっており、年末年始など帰省しなければならない時には親戚の家へ行く。金欠なのに、浪費癖に悩んでいる。あと容姿に物凄くコンプレックスを持っている。自分でも混乱してくるので、これ以降は「川端」で統一します。
②清野
中学2年生。本名は小笠原義人。小学校から高等小学校を経て中学に来ており、また病気で一年休んでいたので年齢は川端先輩より一つ下(明治33年生まれ)。川端室員。
川端先輩が大好きで、神のように崇めている(マジで)。大本教信者で、卒業後は信仰の道へと進み、1年兵役にも就く。
「大変負け惜しみが強いけれど、正直な子」
「女の性情」「心ばかりでなく、しぐさにも女が多かつた。」
「こんな女を妻にしてもよからうと思ふ位柔和な本当に純な少年だ」「充分に愛擁し得る幼い心である」(「當用日記(大正五年四月十一日)」より)
「この世のものとも思へぬ純真な少年」(「川端康成全集第33巻 独影自命」(新潮社、1999年)より)
マジ天使。川端先輩にとっては魅力的な容姿ではなかったようだが、他の先輩から狙われることもあったので特に不細工ではないんじゃないかと思う。意外に剣道が強いらしく、4年生の時の校内剣道大会で活躍している。
「當用日記(大正五年七月二日)」に
「丑の時参り其他神秘な恐ろしい話に落ちてゆく。小笠原ビクビクする。神秘主義やら心霊学の端くれを話す。便所に行つて帰ると宮田白い衣に白い眼で立つ。小笠原キヤツと云つて俺の肩につかまる。」(※句読点は私が付けました。小笠原=清野少年です。)
とあるのですが、ちょっと可愛すぎませんか?読んでて光景が浮かぶようでニヤニヤしてしまった。
※清野少年に関する論文とか本とか見つけたので、公共図書館で頼んで遠方から取り寄せ中です。また何か新たな発見があったら別記事にします。
川端康成「少年」の清野少年の写真 (川端康成「少年」⑩) - うみなりブログ。
清野少年のその後(川端康成「少年」㉓) - うみなりブログ。
③垣内
一年落第しており中学2年生。本名は宮田正一。川端室員だったが、夏頃に退学した。川端先輩も惹かれる美少年(※追記。すみません、美少年だとは断言されてません。肌が美しい少年です)。7月頃までの「當用日記」にはよく登場し、彼の寝姿や肌などに魅了されまくっている様子が伺える。彼からも川端先輩にモーションを掛けたりしてきたらしいが、特に関係は持っていない。「當用日記」と一緒に収録されている「大正五年 ノート二」に彼の退学を必死で引き留める長文の手紙(例の31枚の作文ラブレターにも言及されてるやつ)が載っていたが、本当に気になっていたんだろうな…。(※どれ程長文かと言うと、上下2段組で4ページに渡ります。)彼が退学しなかったら川端先生と清野少年との蜜月は存在しなかったかもしれないとまで思う。(そんな彼との関係を「垣内は正直気になってたけど、やっぱり清野、お前の純粋さは最強だよ!」みたいに清野少年に例の作文ラブレターで弁明してるところがとても良い。)しかし、②清野を「ほしがつてゐたやうだつた」ともあるので、もし彼が退学しなかったら垣内→清野→川端→垣内というドロドロな三角関係になっていたのか…?
④小泉
中学2年生。③垣内が退学した後に川端室員になる。川端先輩のお気に入りの1人で、この子も川端先輩のことを室長として慕っていた模様。②清野と共に隣に寝て川端先輩を両手に花状態にしたり、②清野が居ない時に隣に寝て、川端先輩に腕を弄ばれたりしている。②清野とも親しかったが、3年の時に喧嘩をしたらしい。3年の時に寄宿舎を退舎、卒業後は東京に行く。(※追記。本名は山口。)
⑤杉山
中学2年生。本名は竹内寅太郎。川端室員。謎の病気持ち。悪臭を放つ病気(悪癖?)で、隣で寝ている④小泉が気の毒になる程らしいが、「少年」に書かれた内容だけではどんな病気なのかよくわからなかったが、「當用日記」で寝小便だと判明。机に隠した日記を②清野と④小泉には読まれても良いが、こいつにだけは読まれたくないとか言われている。あと、ガサツで友達が居ないがこいつなら居なくても無理はないとか言われて割と川端先輩から嫌われている。
⑥大口
中学5年生。川端先生と同期。寄宿舎で隣の室に住む。②清野にちょっかいを掛けたが、相手にしてもらえなかった。⑦河内の幼い妹に目をつけてラブレターを出したりもしている。卒業後は東京に行く。(※追記。本名は恐らく井上保次郎。)
⑦河内
僧侶の息子。川端先生がよく⑥大口を通して本を貸している。⑥大口に幼い妹に目をつけられたことを心配している。
⑧北見
川端先生が中学卒業後に、4年で②清野の部屋(第8室)の室長になる。
⑨菊川
川端先生が中学卒業後に、②清野と同室になる。美少年。大人しくて上級生にいじめられる。
⑩淺田
川端先生が中学卒業後に、②清野と同室になる。美少年。
⑪島村
川端先生が中学卒業後に、寄宿舎が乱れていると手紙を送る。
⑫上島
川端先生が2月に部屋を不在にしていた際に②清野の所に遊びに来ていて、川端先生が急に部屋に戻ってきたのに驚いて②清野の布団に隠れて川端先生を怒らせる。
⑬N
1年生。美少年。
⑭M
1年生。美少年。通学生。
⑮片岡君
一緒に散髪へ行く。帰省の際に停車場で待つ。一高一覧表を貸す。(※追記。多分、片岡重治さんです。)
⑯中澤君
一緒に銭湯に行く。(※追記。多分、本名です。)
⑰白川
全校一の美少年。一級下。大変真面目な人。
(※追記。紅野眞二なる人物か。紅野くんに対しては「色々と私に対するペツトとしての紅野を幻に浮べながら美しい顔に見入(T5.3.1)」ったりしてるので色々ヤバい。)
⑱欠田君
通学生。「Guy de Maupassant's Short Storys」を借りる。年末、成績を見に学校に行く際に停車場で会い、文学の話や卒業後に東京に行きたいが親族に反対され迷っているなどと話をする。(※追記。多分、川端先生の中学時代の文学仲間の欠田寛治さん。)
⑲清水君
通学生。朝日新聞の500円懸賞の長編小説を本気になって執筆している。(※追記。多分、川端先生の中学時代の文学仲間の清水正光さん。)
⑳平田
川端先生と同期で、卒業後は東京に居る。②清野とも親しかったらしいが、②清野から手紙を送った際には返事が無かった。(※追記。多分、平松正雄さん。)
※ここから数名追記↓
㉑高木
肉の思いなしに眺められなさそうな美少年①。
㉒富永
肉の思いなしに眺められなさそうな美少年②。
㉓西川
肉の思いなしに眺められなさそうな美少年③。
㉔関口
英文が上手なクラスメイト①。
㉕細川
英文が上手なクラスメイト②。
㉖鈴村さん
京都に住む。「新潮」増刊「文壇新機運号」を送る。
㉗Mさん
⑭のMとは別人。京都に住む。手紙を送っている。恐らく水田さんという、寄宿舎の一学年先輩だった人物と思われる。
一応、最後まで書き出しました。多いよ…。これでも本当に1回しか出てこなかったりあんまり特徴の無い人は省きました。
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