川端康成先生「少年」の記事、10回目です。
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川端×清野はR18な関係になりえたか?② - うみなりブログ。
「少年」関連の記事は一旦区切りにしたつもりだったんですが、図書館に取り寄せを依頼していた本が届いて、とうとう清野少年のモデル・小笠原義人さんの写真を見ることが出来ました。今回はそれについて語りたいと思います。
えっ、清野少年の写真が見れるのwktk!と期待しながら続きを見て下さった方、本当にすみません。さすがに書籍内の写真をそのままブログに載せるのは著作権的にまずいと思うので、書名だけ記載しておきます。
林武志先生「川端康成研究」(桜楓社、1976年)です。
興味のある方は図書館などで探してみて下さい。私もどうせなら載せたいのですが、著作権的なことが本当によく分からなくて、すみません…。
今回わかったこと。
・小笠原さんの写真は、学生時代の時の写真が2枚と22歳の時の写真が1枚の計3枚ありました。ものすごく美男子とか美少年という訳ではないのですが、決して不細工ではないと思います。普通の素朴な感じの青年です。川端先生のドンピシャ好みの顔じゃなかったことは、4〜11月までそういう関係にならなかったことからも何となく伝わってきますが、これで「おろかしい顔」とか書かれるのはちょっと酷くないですか、川端先生?
・これまでずっと川端×清野で妄想してましたが、清野×川端に改めなければならないかもしれないくらい、小笠原さんが体育会系だということが分かりました。少なくとも体格的なことだけで見たら小笠原×川端であることは間違いなさそうです。剣道以外にも柔道と水泳も嗜んでいらっしゃって、水泳ではコーチもされていたようなので、恐らく川端先生より健康でムキムキです(川端先生の居ない淋しさを埋める為に、川端先生卒業後には更に柔道と水泳に打ち込んだと書かれていて萌えました)。作中にも病気云々書かれていたので、今までは病弱で小柄な少年を思い浮かべていましたが認識を改めなければなりません。あぁ、だから割と筋肉質で、川端先生の好みの体型ではなかった可能性もあるんですね。もっと女性を彷彿とさせるような丸っこい体型の少年に惹かれてたんでしょうか。宮田とかも「丸っこい肉体」とか書かれてたし。だから「どうしたつて肉体の美のないところに私のあこがれはもとめられない。」なのか…。
・一年志願兵制度で兵役に就いていたそうで、予備役ですが陸軍の少尉殿ですよ。通常なら徴兵で二年のところを一年だけ兵役に就いていた謎が解けました。一年志願兵制度についてはあんまり詳しくありませんが、まとまったお金さえ払えば大分優遇された状態で兵役に就くことが出来たようです。
・22歳の神職に就かれた時の写真では眼鏡をしてらっしゃいます。学生時代の写真では眼鏡はありませんでしたが、眼鏡っ子清野という新しい清野少年像が爆誕しました。
・以前の記事に書いた最大の謎「清野」の読みについても判明しました。嵯峨野と清滝(きよたき)の合成であろうから、「せいの」ではなく「きよの」が正しいだろうとあります。個人的にはずっと「きよの」と読んでいたので、ちょっと嬉しいです。
・川端先生は清野少年と過ごしていた時には特に彼から救済されていたとは思っておらず、あとから思い出して彼に救済されていたことに気付いた。婚約破棄した女性は清野少年のような癒してくれる存在では全くなく、その女性と正反対の存在である清野少年の思い出をぶつけて傷を埋めようとした。そして「湯ヶ島の思ひ出」が書かれたとあり、なるほどと思いました。結婚しようと思っていた女性より癒し系だったなんて、清野少年はやっぱりマジ天使です。
・川端先生が不純な気持ちで他の少年を見れば見るほど、プラトニックを貫いた清野少年との関係が更に特別なものとして浮かび上がる、みたいなことも書かれていましたが、本当にその通りですね!川端先生が、垣内だ白川だNだと他の美少年の名前を出す度にちょっとモヤモヤしていましたが、そういうことなら良いです!ジャンジャン不純な目で見て下さい!
・別作品の論文内の記載でしたが、川端先生から小笠原さんへ送られていた手紙について、「読むのに苦労するほどの原稿用紙に書かれた部厚い手紙が毎回届いた」そうです。残念ながらそれらの手紙は戦中・戦後の混乱期に紛失したそうですが、いつ頃まで手紙のやり取りが続いていたかまでは書かれていませんでした。
清野少年について色々分かり、すごく興味深かったです。上記の本を探された方は、写真と合わせて是非p55からの「「伊豆の踊り子」成立考」も一緒にご覧下さい。
新しい清野少年像が出来そうですが、あくまで小笠原さんとは別の創作された存在(小笠原さんだけでも充分萌えキャラとして成立するけど、小笠原さん成分70%・創作(というか美化?)30%くらいの配分かな?)が清野少年であるとも思うので、今後もちびっ子清野で妄想はしていきたいと思います。
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