うみなりブログ。

アラフォー腐女子が、BL要素のある文学作品をイラスト付きでゆるく紹介します。日本近現代文学が中心。BL・同性愛的な表現が苦手な方はお気をつけ下さい。

大口の本名(川端康成「少年」⑮)

あの…、小泉に続いて、大口の本名も何となく分かりましたので、聞いていただけますか…?

恒例の川端康成先生の「少年」関連の記事なんですけれども…。

川端文学館の記事を除いても、もう15回目だったりします。もういい加減「少年」の話題はうんざりだよ!とか思われないか心配ですので、「大口の名前?聞いてもやっても良いよ!」と言う人だけ読んでやって下さい。

続きを見て下さった方、本当にありがとうございます。

小泉と大口の本名は(需要がなさすぎて)恐らく一般人は誰も特定していないと思いますので、多分ネット上ではこのブログでしか知ることが出来ないと思います(もしあるならマジで読みたいので、教えて下さい)。人生の何の役にも立ちませんが、他では知ることが出来ない情報を得て無理矢理にでもお得な気持ちになっていただけたら幸いです。

小泉はこの間特定しましたので、未読で暇な方はこちらをご覧ください。やはり人生の何の役にも立ちません。↓

小泉君の本名(川端康成「少年」関連) - うみなりブログ。

「少年」関連が未読の方はこちらからご覧いただけましたら、もれなく15回分記事が付いてきますので、特に暇を持て余している方にオススメとなっております。川端文学館の話題も入れたら17回もあるよ!暇つぶしにもってこいだよ!↓

川端康成「少年」① - うみなりブログ。

まずこちらの画像をご覧下さい。

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大口は⑥の人物です。

わかりやすく書くと、清野少年に言い寄って振られた人物です。清野少年が「大口がはいつて来てこはい」とか涙ながらに川端先生に訴えた、あの大口です。「少年」内の当て馬、あの大口でございますよ!…大口の悪口はそろそろやめてあげよう。

完全に本名を特定!と言う訳にはいきませんでしたが、恐らく「井上保次郎」なる人物ではないかと思います。

まず、大口の特徴として「少年」で分かることを書き出します。

①川端先生に良い印象を持たれていない。

清野少年に言い寄っているくだりで、大口に対して怒りを感じています。

大口に対する憤りは、もう交りを断たうと思ふところまでつのつて行つた。(「少年」T6.1.21)

②同級生で、卒業後に一緒に東京に行っている。

清野少年からの手紙で、寄宿舎からは大口と平田が一緒に東京へ行っていることが分かります。

東京には前の室長さんの宮本さん、それに平田さん、大口さんがゐられる。(「少年」清野少年からの手紙T8.11.5)

③惚れっぽい。

清野少年に言い寄るエピソード以外に、河内と言う僧侶の息子の妹に大口が手紙を出したエピソードが書かれています。

大口君の愛には、好奇心が多いやうに思ふ。(「少年」T5.12.2)

①にも通じるのですが、惚れっぽい大口を川端先生は若干見下しています。いや、惚れっぽさなら川端先生も負けていませんよ⁈と「少年」読者は皆でツッコみましょう。

④寄宿舎の隣の部屋に住んでいる。

大口が隣の部屋に居るから、清野少年と小泉が心配で慌てて部屋に戻るくだりがあります。杉山は嫌われているだけあって完全に空気である…。

と、小泉が一人で室に寝、大口が同じく隣室に在褥してゐると気がつくと、急に不安で静坐してゐられない。(「少年」T6.1.21)

室に清野と小泉が寝てゐるのだと思ふと、大口が不安でじつとしてゐられなかつた。早目に帰つた。(「少年」T6.1.22)

5室の隣の部屋なので4か6室。何か登場人物の記事書く時に4室って見たような気がするんですが見つからない…。

大口について「少年」で分かるのはこのくらいですね。

あとは、こちらの条件に合致する人物を「川端康成全集 補巻一」(新潮社、1999年版)から探すだけの簡単なお仕事です!

簡単なお仕事なはずだったんですが、超難航しました…。そして完全特定には至らず…。

そんな中途半端な状態で記事にするなよ、と言われるかもしれませんが、9割方、井上保次郎なんですよぉぉ、あとは茨木高校に残っている(と思われる)当時の寄宿舎名簿を見るか、川端日記の抜けている所でも見ないと素人にはこれ以上は無理なんだよぉぉ。゚(゚´Д`゚)゚。と言うことで記事にしました…。すみません…。一応最後まで読んでやって下さい〜。゚(゚´Д`゚)゚。

①川端先生に良い印象を持たれていない。

井上は、大正4年度に川端先生と寄宿舎同室で室長だった人物です。當用日記に度々名前が出てきて居ますが、川端先生は色々細かく井上室長に注意されていたみたいで(服をちゃんと掛けておけ等)、とりあえず良い印象を持っていません。つーかはっきり嫌っています。

最もきらいなのが井上君である(10.27手帳断片※大正5年の所にありますが、他の部分の内容から判断すると大正4年です。)

寄宿舎の同級生では他に末藤、片岡、森、平松など名前が出て来ますが、日記の範囲内ではっきり嫌っている同級生は井上室長だけの模様です。嫌っている割には一緒にお散歩したりしていて割と仲良しである。川端先生には何だか無口なイメージがずっとあったんですが、「當用日記」読んでからは完全に真逆です。多分コミュ力の塊みたいな人間だと思います。常に友達と一緒に楽しく過ごしている、寄宿舎内のリア充グループの一員なんじゃないかと。だから嫌いな人間とも上手くコミュニケーションを取れて、嫌っていた室員の竹内とも少なくとも3年間は文通してたりしたんだろうなぁ…。おっと、完全に井上の話からずれました。すみません。

②同級生で、卒業後に一緒に東京に行っている。

同級生で卒業後に一緒に東京に行っていて日記にも名前が出てくるのは、解題によると平松正雄と井上保次郎です。平松は多分寄宿舎でも一緒だった平松だと思います。で、清野少年とも手紙をやり取りしているらしい「少年」内での平田じゃないかと思います。(※寄宿舎の集合写真の名前にもなかったので「平田」は仮名です。)平松は川端先生と仲が良かったみたいで、最も好きな中学時代の友達みたいなことを日記にも書かれています。

③惚れっぽい。

とりあえず同室の時に井上に色々恋話をされてウンザリしている日記がありました。

昨夜井上君が床に言つて(※入って?)からとりとめもない君の知つてゐる美しい女のローマンスを話してた。自修時間中も妹と親友の同じ学校に行つてゐる書店の娘のクラス一の美人とかに須磨の曲を送るのとか言つて私に封を書かせたりしてゐた。(「當用日記」T5.1.11)

大正6年の上京後の日記では、井上が女性に手紙を出したことを平松と一緒に噂するくだりがあります。①にも関係しますが、この時にも井上に対してあんまり良い印象を持っていません。

井上が河井澄子に手紙を出したさうである。返事はない。これは平松からきいた。そして二人して井上を嘲りたい心持になるのはどうしてだらう。(「自由日記」T6.12.2)

あと細々と他にも井上に対する不満が書かれています。

④寄宿舎の隣の部屋に住んでいる。

これは発見出来ませんでした。これさえ分かったら完全特定だったので残念でなりません。

まず、中学時代の當用日記によく出てくる前室長の「井上」が上京後に一緒に過ごしている「井上保次郎」と同一人物かどうかがはっきり分かりませんでしたので、名字だけ一緒の別の人物の可能性もあるんですが、①③も合致しているので9割方そうなんじゃないかな〜と思います。

ということで大口が井上保次郎だったら色々すっきり収まるな!という記事でした。

※まとめ※

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①宮本=川端康成

②清野=小笠原義人

③垣内=宮田正一

④小泉=山口(丈三?)

⑤杉山=竹内寅太郎

⑥大口=井上保次郎?←new!

え?⑫の上島の本名の特定…?無理です!_:(´ཀ`」 ∠):

 

次の「少年」記事もありますよー。↓

川端・清野が疎遠になった原因①(川端康成「少年」⑯) - うみなりブログ。

 

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