県立図書館で入手した資料の紹介の続きです。
未読の方は①からご覧下さい。↓
戦利品②日下諗先生の小説
「彼と鏡」明治43年5月
「戀の園」同8月
「再會」同44年2月
「雪の日」同3月
「幸さんの幼なき日」同5月
全て臨川書店「白樺 復刻版」より。
私が川端康成先生の「少年」以外にどハマりしているもう一つの小説「給仕の室」の日下諗先生の小説です。
「給仕の室」は谷崎潤一郎先生も絶賛したと言われる、伝説のド変態小説です。詳しくはこちら↓
日下諗の「給仕の室」について熱く語る。 - うみなりブログ。
日下先生の小説は、あと「お島と猫」を入れればこれで全てコンプリートなはずです。小説以外にはいくつか他の号に短歌が載っているみたいです。
「お島と猫」についてはこちら↓
初期白樺派の隠れた名作・日下諗「お島と猫」は「給仕の室」の殺害エンド? - うみなりブログ。
高校時代に全てコピーを取っていたのに、引っ越しで紛失してしまったために今回取り直しました。私の最寄りだと県立図書館と大学図書館以外に「白樺 復刻版」がないので…。
以前読んだ時にもこれらの小説はあまりパッとしませんでしたが、やっぱり「給仕の室」と「お島と猫」がインパクトがありすぎて霞んでしまっています。日下先生が全ての作品をドSの方向に全振りしてもっと作品を書いてくれていたら、谷崎潤一郎先生もびっくりの稀代の変態作家として今も名前が残っていたんじゃないかと思われてなりません。色々残念です。
霞んでしまってはいますが、これはこれで味がある文章なので私は好きです。もっと日下先生の小説が読みたくなりました。一応簡単にご紹介します。
「彼と鏡」上下2段組2ページ
鏡と自分の容姿と他人を気にするあまり引きこもりになってしまう男の話。
「戀の園」5ページ
一人の男が三人の美女と庭園を歩いている夢の中の話。
「再會」9ページ
別れた後に再会した男女の話。
「雪の日」10ページ
雪の日に散歩に出た男が乞食に出会い、酒や小銭を恵んでやる話。
「幸さんの幼なき日」11ページ
日下先生の6歳頃までの思い出を書いた自伝的小説。
「給仕の室」が載っている「明治文学全集 76巻 初期白樺派文学集」の解題でも日下先生の作品が全作品ではありませんが、少し解説されています。
とりあえず「雪の日」については、
硬い文体が自然の感情の複雑さを殺して、失敗している。
と解説されています。
そう言われると確かにそのように感じますが、私はあんまり文章の硬さとか良し悪しとか分からないので何が悪いのかが正直よく分かりません。
私は「給仕の室」が好きなので、日下先生の作品をかなり贔屓目に見ていると思いますが、私は結構好きです。
「戀の園」は贔屓目に見ても面白くありませんでしたが、他の作品はなかなか面白かったです。この中なら「彼と鏡」が一番面白かったです。
「雪の日」は日下先生のお兄さんの正親町公和先生の「乳母の里」(「白樺」明治44年12月号)を読んだら作品の背景が繋がっているようなのですが、今このブログ書いてる時に気づいたよ…orz
次また県立図書館に行ける時にはチェックしたいです…orz
もし興味がある方は是非「白樺」から探してみてください。
国立国会図書館の遠隔複写サービスを使えば、近くで「白樺」が見られない方もコピーを取り寄せることが出来ます。
まだ県立図書館での戦利品が残っていますが、とりあえず日下先生を大プッシュしたかったので今回は日下先生の小説のみ紹介しました。
また次回に続きます。
↑良かったらクリックお願いします。