うみなりブログ。

アラフォー腐女子が、BL要素のある文学作品をイラスト付きでゆるく紹介します。日本近現代文学が中心。BL・同性愛的な表現が苦手な方はお気をつけ下さい。

川端康成が登場する石濱作品②(川端康成と石濱金作⑦)

最近更新が滞っており、万が一楽しみにして下さっている方がいらっしゃったらすみません。

色々ネタはあるのですが、文章を書くのに手間取っております。

ブログを開設して1年経ちましたが、去年のこの時期に毎日更新していたとはとてもじゃないけど信じられないです。これを書いているのは果たして一年前と本当に同一人物なんでしょうか。自分が気づかないうちに宇宙人に脳みそをいじられてパフォーマンスが低下している可能性はゼロではないような気がしますがどうでしょうか(どうと言われても…)。

とりあえず今後も1ヶ月に1〜2回は更新を続けていきたいと思っていますので、良かったらまた引き続き見て下さると嬉しいです。

 

よく分からない前置きになりましたが、今回は川端康成先生の親友・石濱金作先生の著作から、川端先生が登場する作品を紹介するシリーズ②です。

 

①をご覧になっていない方や、川端と石濱シリーズを初めて読まれる方は先に前のナンバリングからご覧下さい。

こちらのインデックスにリンクが貼ってあります。↓

川端康成関連インデックス - うみなりブログ。

 

軽くBL・同性愛的な話題が混じります。以下お気をつけ下さい。

 

 

①でも書いた前置きです→

以前書いた石濱金作・著作リスト  に川端先生が登場する作品について★を付けていますが、とりあえず川端先生の登場頻度と密度(?)に応じて★を増やしたものと簡単に解説したものをこちらに置いておきます。★が多いもの程川端度が高くなります。(川端度って何だ…)

 

 

「ずるしちや厭よ」(『新青年』1934.12)★★★★

「fair play」という単語の思い出から初代騒動(川端先生と伊藤初代の婚約破談事件)について語る一応創作。

川端先生の名前含めて仮名ですが、間違いなく初代騒動について語っています。(多少なりとも脚色はありそうです。)

初代騒動については「無常迅速ー青春修行記」「ある恋の話」でも語っていますが、他にもあったのかと発見した時には興奮しました。

カフェの少女給仕の千ぃ公を贔屓にしていた「私(瀬川)」とAとBの三人は「fair play」を誓って絶対に抜け駆けしないと決めたが、ある時Aが真面目に彼女に恋をしてしまった、という部分から話が繰り広げられていきます。

Aである川端先生は

私たち三人のうちで一番ひかへ目なその代わり一旦思ひ立つたら、そればかりを思ひつめるといふやうな性質の真面目な男なのです。

と書かれています。

さて、初代騒動を巡る裏で「私」はカフェのおかみに誘惑されたり、後々道端でおかみを殴ったりしています。そんなことしてたんですか…。

普通に読み物としてかなり面白いです。

石濱先生の作品は色々収集途中ですが、こういう創作なのか随筆なのかがよく分からない作品を結構書いてらっしゃって、めちゃくちゃ良い味を出しています。(『文藝時代』の同人も同じように褒めていました。)

 

「入学試験前後」(『文章倶楽部』1926.7)★★★★

短い文章なんですが、石濱節炸裂で最高でした。

とうとう我らが石濱先生が

生涯の良友、妻よりも尊い愛人川端康成

とか書き始めましたよ。

前半は一高の入試を受ける前のくだり。高等商業学校の試験をブッチしたこととか書いてあります。私は石濱先生ご本人の人生にも興味があるので、非常に面白かったです。後半は一高に入学した後のエピソードです。ここで

生涯の良友、妻よりも尊い愛人川端康成君と落ち合つたのである。

と書いたのちに、

川端は聖人の如く清浄である

とベタ褒めしています。

この時点で石濱先生は既婚者なので川端先生は愛人枠なのでしょうか。この作品の3ページ前に書いてる川端先生が一体どんな反応をしたのか気になるところです。そしてこの前のページに書いてる同人仲間の鈴木彦次郎先生はどんなツッコミをしながら読んだのでしょうか…とこちらも色々ツッコミが捗ります。

普通に「生涯の良友」だけで良いと思うんですが、筆が滑って書いてしまった感がとても良いですね。石濱先生の随筆系の作品を読むとついつい筆が滑ってしまった感のあるものがたまにあるので、それも含めて石濱節という感じで彼の随筆系の作品が大好きです。

この作品では『入学初日に同級生に幻滅した石濱が「この級の奴は皆馬鹿か下等だ」等とこっそり放課後に教室の壁に落書きしたら、そこがたまたま川端の席の隣の壁で、他の人に川端が落書きしたと勘違いされてしまった』という酷いエピソードも書いてあって、とりあえず面白過ぎました。

 

 

「打てば響く」(『新青年』1931.1)★

新青年』のアンケート企画です。色んな作家が書いてる中に石濱先生も書いています。

あなたはどんな青年(男女)が御好きですか?

との問いに

男では片岡鉄兵さん。横光利一さん。川端康成さん。あんな人が好きです。

女ではーー御承知でせう、云はなくつても。

と答えています。女の趣味は承知してないので是非とも教えていただきたい…!!

川端先生がランクインしているのは、これまでの経緯からして当然です。もし、ここに書かれていなかったら色々変な方向に邪推するところでした。

あとは片岡先生と横光先生。

石濱作品を読んでいると横光先生の名前もちらほら出てくるので仲が良かったことが伺えますが、片岡先生もここに名前を上げるくらい仲が良かったのですね。

せっかくなので、石濱先生が書いた横光先生とのエピソードをご紹介いたします。

石濱先生は礼服を持っていなかった為、冠婚葬祭の度に横光先生からモーニング(※)を借りていたらしいのですが、池谷信三郎先生の結婚式の時と葬式の時には横光先生も参加するから借りられなくてさぁ困ったぞ、という作品があります。(「池谷君の結婚披露式」『作品』1934.1)

あと、「横光はお金が手に入っても贅沢をせずに偉い男だった」というようなことを戦後に新聞の学芸欄のインタビューで話しています。(『朝日新聞』1954.4.21)←あ、この新聞記事にも川端先生の名前が出てくるので一応★1です。(※…このインタビューで「横光は夏でもモーニングを着るくらい貧しかった」とも書かれていました。横光先生の文字通りの一張羅…ウッ(´;ω;`))

話しがズレました。川端先生が出てくるのは上の問いの箇所だけです。

こちらのアンケートは10問くらいあるのですが、とある問いで

僕はマゾヒズムの傾向が多いから、曝露的な書物に一番心を惹かれ、影響も受けます。

とか赤裸々に書かれています。

そうなんですか、Mなんですか…(*´-`)

 

 

「独居日記」(『文藝』1935.8)★

文藝. 3(8);8月號 - 国立国会図書館デジタルコレクション

国立国会図書館に本登録していればデジタルコレクションで閲覧できます。

石濱先生は把握しているだけでも2回結婚されています。

1回目の結婚は「ざんげ日記」(『新青年』1935.9)、2回目の結婚は「青春行楽記ー人間・菊池寛」(『改造文藝』1950.5)に詳しいのですが、その2回目の結婚以降のことが書かれています。

タイトルのとおり、この時には妻子と別居中で独居されております。一体何があったんですか…。

なんか全般的に運気が低迷している感じがヒシヒシと伝わってきて、何だかこちらまで何とも言えない悲しい気持ちになってきます。

この作品中では独居しているだけで二人目の奥さんとは離婚はしていないのですが、何と妻以外の女性を家に泊めています。この時には手は出していないらしいのですが、再度泊めたらどうなるのか分からないくらい危機的状況のようです。この後のことが書いてないので、その後彼がどうなってしまったのかがとても心配です…。

とりあえず、1回目の結婚で産まれたお子さんについて

上の子はもう尋常五年になつて、川端さんとこや兄のところへは年賀状や暑中見舞を寄越すさうだが、父である僕のところへは六年間一本も寄越さない。

と書かれています。一体どういう状況ですか…。

川端さんの名前はここにしか出てきませんが、一応出てきたので★1です。

 

「里見弴氏の今昔」(『新潮』1922.11)★

かなり最初期の評論です。タイトルのとおり里見弴先生について語っています。

里見弴先生は当ブログでも以前からお馴染みの「君と私と」の里見弴先生です。

志賀直哉先生との関係がとりあえずヤバい里見弴先生です。

あの、最強の共依存ブロマンス(当ブログ比)を志賀直哉先生と共に繰り広げている里見弴先生です。

前半で里見弴先生の作品について語った後、後半で里見弴先生を実際に見た印象が書かれていますが、川端先生と鈴木彦次郎先生と共に見たそうで名前が出てきた為★1になっています。

書かれている里見弴先生の印象が面白すぎて、吹き出しながら読みました( ;゚;ж;゚;)゙;`;:゙;;゚;ブッ まさか評論を読んで吹き出す日が来るとは…。

 

 

 

今回は以上です。

作品数的には前回より少ないですが、色々濃ゆかったので文字数はどっこいどっこいになりました。

また何か見つけたら書きたいと思いますし、川端日記や『文藝時代』から見た川端&石濱の考察記事もいくつか書こうと思っていますので、また「川端康成と石濱金作」にお付き合いいただけましたら幸いです。

あと、色々集めたものから纏めた石濱年譜を作ろうかと目論んでいます。川端先生が絡まない石濱情報にどれほどの需要があるのかは分かりませんが、私が欲しいから多分作ります。

 

 

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