さて、とうとう日下諗先生「給仕の室」以外の話もします。「給仕の室」についてはまた別に語ります。恐ろしいことに、3回に渡って割と長文で語りまくった後にもまだ語ることがあるのです…。
今回は芥川龍之介先生「VITA SEXUALIS」「SODOMYの発達(仮)」です。
以下BL・男色的な話題になります。苦手な方はお気をつけ下さい。
清家雪子先生の文豪漫画「月に吠えたンねぇ」(講談社)でその存在を知ったので、早速図書館に読みに行きました。
「芥川龍之介全集」第23巻(岩波書店)に収録ということで芥川全集なら余裕であるだろうとたかを括っていたら、なんと自分の住む自治体の公共図書館には収録されている全集がなく、隣の自治体まで行きました。
岩波の1998年版にしか載ってないようなのです。
既に別の芥川全集が図書館に完備されている場合こういうこともあるらしいので、探す方はお気を付け下さい。
作品の概要としては、「VITA SEXUALIS」で芥川先生の幼い頃からの性の芽生えを書いており、「SODOMYの発達(仮)」の方で男色について特記している感じでした。全集でも間が離れずに並んで掲載されていました。
小説ではなく、自伝風な読み物となります。
「VITA SEXUALIS」はラテン語で性欲的生活と言う意味みたいで、森鷗外先生も「ヰタ・セクスアリス」を書いています。私はこの作品を知るまでは森鷗外先生の方しか知りませんでした。
「SODOMY」は男色の意味のようです。
で、これも「給仕の室」みたいに概要を4コマとかにしたかったんですが、描けませんでした。
何故かと言うと、R18になってしまうからです。
主に「SODOMYの発達(仮)」の方ですが、強制猥○や強○や輪○などが平気で沢山出てくるのです。念のため伏せ字。読み終わった時にはお腹いっぱいです。
あれ…?私、芥川全集を開いてたよね…?
何でこんな男性向けの薄い本(鬼畜系)みたいな世界に迷い込んでるの…?
割と淡々と書いているので、いやらしいという感じは個人的にはあんまりしませんでした。官能小説みたいなのを期待して読むとガッカリするかもしれません。
というか、文章の書き方が独特過ぎて慣れるまで読みづらかったです。
もしこの作品に書かれた出来事が実際に芥川先生の身に起こったことなのだとしたら(冒頭に多少の脚色があると書かれてはいますが)、芥川先生は先輩から強○されたり、可愛い男の子を仲間と共謀して自分の部屋で輪○したりする相当危険な学生時代を送っていたことになります。危険過ぎます。
と思ったら明治大正辺りの学生界隈では男同士の恋愛が流行っていたり、強○とか輪○とか男を取り合っての刃傷沙汰とかも割と多くて社会問題にもなっていたそうです。(近代文学のBLを検索してこのブログに辿り着いた猛者には常識かもしれませんが一応。この辺りについては、kindleで読める井上みなと先生「明治・大正・昭和の男色」に詳しかったです。
)
という訳で、現在の感覚では度肝を抜かれるようなことでも当時としては割とよくある感覚で書き残していたのかもしれません。
(いずれにせよ男同士で強○輪○が横行していたなんて、現代の感覚からすると危険極まりないことには間違いありません。この時代にはタイムスリップしたくないと、心から思いました。)
芥川先生の小説しか読んだことのない方には、芥川先生はこんなものも書いていたんだ!という意外な一面を知ることが出来ると思うので、そういう面から読んでも面白いかもしれません。
未読で興味のある方はどうぞ読んでみて下さい。