うみなりブログ。

アラフォー腐女子が、BL要素のある文学作品をイラスト付きでゆるく紹介します。日本近現代文学が中心。BL・同性愛的な表現が苦手な方はお気をつけ下さい。

里見弴「君と私と」③

里見弴先生「君と私と」は一応全て読み終わって感想も書き終えたのですが、「君と私と」の続きのような作品が大量にあるという情報を得ましたので、それらを読みました。

(Twitterで情報を下さった、もこたろ雨様、朝海様、本当に有難うございました!)

タイトルごとに分けると自分も混乱しそうでしたので、「君と私と」の続きのような形で書かせていただきます。

前回はこちら↓

里見弴「君と私と」② - うみなりブログ。

「君と私と」の記事が完全未読の方はこちらからご覧ください。↓

里見弴「君と私と」①(相関図付き) - うみなりブログ。

BL要素は薄めですが、ややBL・同性愛の話題が混じっております。お気をつけ下さい。

①里見弴「君と私と」(筑摩書房「明治文学全集 76巻 初期白樺派文学集」)

志賀直哉「廿代一面」(岩波書店志賀直哉全集  第二巻」※1999年版)

③里見弴「善心悪心」(改造社「里見弴全集 第一巻」)

④里見弴「世界一」(同上)

⑤里見弴「ある年の初夏に」(同上)

⑥里見弴「幸福人」(同上)

⑦里見弴「春の水ぬるむが如くに」(岩波文庫「里見弴随筆集」)

志賀直哉「正誤」(岩波書店志賀直哉全集 第五巻」※1999年版)

史実の時系列的にこの順番のようですので、このように読みました。( )は私が読んだ媒体です。

これら以外にも2人の関係について書かれている文章は探したら沢山あるようですし、志賀先生の「暗夜行路」にも関連する記載があるみたいなのですが、今回は確認出来ませんでした。中途半端で本当にすみません…orz

ということで、私が読んだ範囲内のことにしか言及していませんので、ガチ勢の方、どうかお手柔らかにお願いいたします…。(ガクブル)

他に読んだものとしては、里見弴「志賀君との交友記」(岩波文庫「里見弴随筆集」)でも二人の交友について書かれていますが、「君と私と」のダイジェストみたいな感じで分かりやすくて良かったです。

①では里見先生をどうしても家に連れて行きたい志賀先生と行きたくない里見先生の押し問答みたいなところで未完になっていたのですが、そのやりとりまで見事に、書き手が里見から②の志賀に変わっても続いていました。

②の「廿代一面」ですが、会話で誰が喋っているのか分かりづらかったりして、個人的にはちょっと読みづらかったです。

志賀氏の「廿代一面」は小説になつてゐないやうで、つまらなく、失望する。

(新潮社「川端康成全集 第28巻」収録「古い日記」大正12年1月1日より)

と川端日記にもあったので、あの川端先生も読みづらさを感じたのだろうかとちょっとシンパシーを感じました。ちなみに川端先生は志賀先生の小説が大好きですので、酷評は珍しいと思います。(…いくら川端先生が好きだからって、違う文豪ネタにも川端先生を散りばめるな…私よ…。)

あと、最近読み始めた梶井基次郎先生の日記にも

直哉の二十代一面かに、朝は大抵昼までには起きた、昼間は元気なく、夜更けるに從て元氣になる、朝起きたとき、毎日の様に 十二時のブーが鳴るおどろき、ーー陽のある間大いに倦怠、ーー夜でも今頃からが元気なのだ、ーー非常によく似てゐる、今朝、あれに似られては堪らないと思ひつゝ やはり似てしまふ。

(筑摩書房梶井基次郎全集 第二巻」収録「ノート 第六帖」より大正十四年五月六日の日記)

という記載を見つけまして、丁度「廿代一面」を読んだ私としては非常にタイムリーだったのでニヤニヤしました。…ハイ、ものすごいどうでも良い情報でした。

さて、志賀と里見の押し問答ですが、⑤まで彼らはそんなやりとりを繰り返しております。

基本的には仲良く一緒に過ごしているのですが、一緒に居過ぎて自分のアイデンティティが揺さぶられる、と危ぶんでの「行きたくない」です。

里見先生は

昌造は、佐々を殺して了はうと云ふ考を、どうしてもあたまから追ひ出すことが出來なかつた。自分が殺されて了ふよりは…と思つたのだ。

(里見弴「善心悪心」より)

というところまで追い詰められたりもします。

しかし、

いつも抵抗しながらも、私にはどこか心の隅に、云ふなりになりたい氣持があつた。

(里見弴「ある年の初夏に」より)

という複雑な気持ち…。

云ふなりになりたい…!なんかエロいよ…!精神的に依存している感じがとてもエロスです…!

しかし、⑤の終わりではちゃんと「嫌だ!」って言って自分のおうちに帰れました!頑張ったね!(何目線)

これでちゃんと里見先生が「嫌だ」と自分の意思を貫き通したことが、彼らの関係の一つのターニングポイントにもなっているようです。

⑥で急に絶縁状が送られてきており、⑦で仲直りしましたので、絶縁の原因となった具体的なエピソードは?あれ?読み飛ばしちゃった?と思っていましたら、ちゃんと⑧で語られていました。(次の記事で詳しく書きます)

あんなに仲が良かった彼らは、何と8年も絶縁していたのです。仲直りできて本当に良かった良かった(*´∀`*)とここまで二人をス○ーキング、もとい追いかけてきた私もホッとしました。

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↑2人の作中名の一覧表を貼っておきますが、この表を確認するまでもなく読んだらすぐに分かりますので、全くこの表に意味はありません。完全に自己満足です。

一つの記事に纏めたかったのですが、長くなってきましたので分割します。一応次回で終わりです。

里見弴「君と私と」④ - うみなりブログ。

 

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