小川国夫先生のBL要素ありの短編小説「東海のほとり」の感想の続きです。
未読の方はこちらからどうぞ↓
以下、BL、同性愛の話題です。お気をつけ下さい。
前回はあらすじを全て書いたところで終わりました。
簡単におさらいすると、主人公は同級生の友人木暮に淡い思慕を抱いていると同時に、先生の奥さんにも憧れています。
ある日上級生から殴られて気絶した木暮は、先生が出張中の家で奥さんと二人で一夜を過ごすことになりました。
主人公は、木暮と奥さんのちょっとした態度から二人に何かあったのではないかと疑心暗鬼に陥って一人思い悩むあまり、期末試験まで休んでしまいます。
夏休みになり、木暮と海に行った主人公は帰り道でついに木暮に「奥さんに何をしたんだ」と聞き、木暮は怒って主人公を殴って立ち去りました。主人公は木暮が以前と変わらないことをようやく理解しましたが、その代償に木暮との友情を失い、奥さんも遠い人に感じられて恋心も失いました。
いや、もう…。
結局木暮と奥さんは何もしておらず主人公の完全なる一人相撲だった、という解釈で良いんじゃないかと思うんですが、一人で延々と悩む描写もこの沈痛なラストもほろ苦い青春の味という感じがして堪らないです。
木暮への思慕がとても良い感じですね。
成績でも皆からの注目度でも負けたくなくて先に成長されたくないというライバル意識がまずあり、他の同級生が密着したら嫉妬するし、隣で一緒に殴られたいとも思うし、色々な感情が入り混じっていて思春期な感じでとても良いです。
あの時木暮は私の実際と想いで感じうる美しいものの全てだった。
という、①でも引用したこの一文が、木暮に対する想いの全てを表しているんじゃないかと思います。
そして、木暮と奥さん。
木暮と奥さんは主人公の中では色々イメージが変わりましたが、現実には何一つ変わらずに過ごしていたんじゃないかと思います。
木暮は主人公からそのように疑われたことが本当に許せないくらい、主人公を信頼していたんだろうことが最後に分かります。
海で主人公が木暮は
私にああされるのが自然に嬉しかったのか、無意識的に私の意を迎えようとしたのか分からないが、とってつけたようではなく、彼の厚意、彼の勘の良さを感じ
た部分は本当に当たっていたのかもしれません。
木暮は主人公のふくらはぎに挟まれて嬉しかったんですよ、きっと!!
なんか長い間ずっと見つめ合ってたし!!!
ちくしょう!!_:(´ཀ`」 ∠):
主人公が一人相撲さえしなければ、ひょっとして木暮とのイチャラブエンドが見られたんじゃないのか…⁈_:(´ཀ`」 ∠):
くそぅ!!海以上の艶っぽいシーンをもっと沢山見たかったぜ…!!_:(´ཀ`」 ∠):
最後に奥さんも木暮も離れてしまうのですが、喧嘩別れした木暮は本当に離れましたが、奥さんは実際には主人公とはそこまで親しい訳では無さそうなので、あくまでも主人公の気持ちの問題だけだと思います。
恋心も友情も失い、自殺まで考えたというラストが胸に響きます。
すぐに読めるページ数の短編小説ですので、気になった方は是非読んでみて下さい。
こちら↓に収録されています。
さて、皆さまは主人公と木暮のその後が気になりませんか…?
私は気になります!!
そんな貴方にはもう1作品ご紹介いたします!
「霜と虹」。
「東海のほとり」の姉妹作という位置付けの作品です。
↑小川国夫「俺たちが十九の時」(新潮社、2012年)に収録されています。
木暮は木暮のままですが、主人公の名前が「柚木浩」で、木暮より一年先輩だったりと細かい設定が違っています。
主人公が木暮に淡い思慕を抱いて、というのは同じですが、木暮の成績が上がると自分から離れてしまうのではないかと危惧していたなど、「東海のほとり」には書かれていなかったことまで具体的に書かれています。
あと、詳しいことは前(※「東海のほとり」)に書いたから…と途中のエピソードが端折られています😂
まぁ私は「東海のほとり」で読んだから良しとしますが、「東海のほとり」を未読の方は「?」にならないでしょうか…😂
問題は木暮と仲違いした、のあとです。
とりあえず、主人公と木暮の和解→イチャラブエンドを激しく希望します…!
私は海のシーン以上にイチャコラするシーンが読みたいです…!!
早速、その後の主人公の足取りをドキドキしながら辿ってみましょう。
主人公、木暮に似ている女学生に恋をする。
↓
女学生をストーキングし、怪しまれ警戒される。
↓
その事が頭いっぱいで授業に身が入らず、教官に呼び出される。
↓
もしや、ストーキングのことで怒られるのでは⁈とドキドキする主人公。
↓
教官の部屋に向かいました。
↓
完。
ちょっと…!!
木暮は?!
木暮皓一は何処に行っちゃったんですか?!
イチャラブエンドどころか和解もせずに、途中から完全に居なくなってしまったよ?!!∑(゚Д゚)
とりあえず、主人公が好きになる女学生が木暮似というのがポイントです。
…ポイントです!!
ポイントですが!!
結局女学生にはストーカー認定されてしまい上手くいかなかったようですし、これも青春のほろ苦い思い出と言えそうですが何だかモヤッとします…(´・ω・`)
兎にも角にも「東海のほとり」が刺さった方は一読の価値があると思いますので、良かったら読んでみて下さい。
この「俺たちが十九の時」には「少年」というBL要素のある別の短編も載っていまして、戦時中に勤労動員する主人公の柚木浩君が教官の木島中尉から無理矢理抱きしめられたり口を吸われたりしています。
気になる方は合わせてどうぞ。
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