川端康成先生「少年」の9回目の記事です。
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川端×清野はR18な関係になりえたか?① - うみなりブログ。
思いの外記事が増えましたが、「少年」関連はとりあえずこれで一区切りかな?と思います。
さて、タイトルのとおりです。未読の方は①をご覧下さい。
①に引き続き、下ネタ多めで参ります。
「少年」より関連する記載を少し抜粋します。
p156(ページ数は「川端康成全集第10巻」(新潮社、1999年版)のものです。)
私はそれだけしかもとめぬ。清野ももとめてもらはうとは思つてゐぬ。
p158
大口が故意に清野の床をねらつて、いやしい行為ー私にかう呼ぶ権利を与へよ。ーいやしい行為を犯さうとしたことは確かのやうである。(略)しかし大口を憤るだけの浄さが自分にあるのだらうか。私の妄想が一々なにかの形になつて現はれるのだつたら、顔を赤らめないでゐられるどれだけの時間を私は持てるのだらうか。美少年美少女を肉の思ひなしに眺められたことが一度だつてあるのか。(略)また清野に対しても暗い心がひそんでゐなかつたとどうして言へよう。紙一重のところまで行つたことがなかつたと言へようか。
p162
それより先きの交りは空想したにしろ、実現しようなぞとは夢にも思はなかつた。(略)僕の臆病と言へはそれまでだが、見方によつては奇蹟的に、なんら無理な抑制も忍耐も必要なしに、お前をよごさずにすんだ
p223
清野がなんと思つてしてゐるかさつぱりわからぬ。しかし私にはこれ以上のことは求め得られないのだ。
p226
五ヶ月間清野との愛には発展も変化も増減もあまり見えぬやうである。私達は愛憎を言葉に出したこともなかつた。
抜粋は以上です。
まず、川端先生はものすごく潔癖というか、性行為というものに対して嫌悪感を覚えていることが伺えます。なんてったって手淫すらしないのです。しかし、性的に成熟しているので当然ながら性欲も普通にあり、それが美少年や美少女を見ると顕著に現れてしまうという感じで悩んでいたのでしょう。とりあえず「當用日記」の記事でも散々触れましたが、七月に退学した宮田(③垣内)…。宮田にものすごくムラムラさせられている辺りとかは、ザ思春期!という感じがして、アラフォーおばさんには微笑ましく感じられました。
清野少年にも劣情を感じることがあって危うかったみたいですが、隣で寝起きしてて尚且つ毎晩のようにキスしたり抱き合ったりしてたらそれも仕方ないと思います。つーかよく我慢できたな19歳…と感心するくらいです。
清野少年が純情すぎて汚してはいけないと思ったのでしょうか。また、「臆病で出来なかった」みたいなことも書いてありますので、してしまったら自分の貞操感含めて色んな物が壊れてしまうと感じていたのかもしれません。ザ思春期!
しかし、やれる範囲内では「最大限度」お楽しみになり「紙一重」の所まで行っておられます。
「お前の指を、腕を、胸を、頬を、瞼を、舌を、歯を、脚を愛着した。」
例の作文ラブレターの書き出しですが、少なくとも身体のこれらの部位は全て使用しているはずです。p156の「清野の温い腕を取り、」からの部分でとりあえず二人が普段何をしていたかが解ります。一応書き出します。
床に入つて、清野の温い腕をとり、胸を抱き、うなじを擁する。清野も夢現のやうに私の頸を強く抱いて自分の顔の上にのせる。私の頬が彼の頬に重みをかけたり、私の渇いた唇が彼の額やまぶたに落ちてゐる。
ただギュッと抱き合うだけではなく色々してらっしゃいます。この記載内容はあくまで一例なので、もっと際どい所まで触りまくったりした日もあったかもしれません。また、愛着した部位に舌とか歯とかあるので、キスは軽くではなくディープなやつだったと思います。R18までは行かなくともR15くらいは行ってたんじゃとか妄想したら色々捗りますよね、腐女子の皆様。
しかし、それはあくまで一時的な気の迷いのようなもので、川端先生が清野少年に求めていたものは恋愛感情や性欲を満たすことではなく、母性だと思うのです。幼い頃に両親を亡くしてるので、自分のありのままを全て受け入れてくれて、抱きしめたら何も言わずに抱きしめ返してくれた清野少年に母親を見出していたのではないでしょうか。だから余計に性欲を発散させる対象とはならなかった、と考えられます。また、手を出してしまった時点で、川端先生が好きな純粋さを絵に描いたような清野少年は居なくなってしまうのです。中学生の川端康成が純粋さと母性の固まりみたいな少年に救済された、それがこの「少年」という物語の大前提なので、二人がR18な関係になったらその根底が崩壊します。
ですので、この記事タイトルの「川端×清野はR18な関係になりえたか?」という問いには、「なってはならない。」と回答いたします。
また、清野少年に女性らしさを見出して妻にするならこんな子が良いとまで言っています。清野が女だったらと切なく思った、とも書いていましたが、単純に肉体関係を結びたいからではなく妻にしたかったんじゃないでしょうか。そしてもし女だったら本当に妻にしてたんじゃないでしょうか。こんな母性の固まりみたいな子とずっと一緒に居たい、で、一生甘えまくりたい。結婚したのなら間違いなく結婚後には手も出していたでしょう。(川端先生は婚約した女性にも手を出していませんでしたので、婚前交渉はないと思います。)清野少年が女体化すればR18もありえますね。というか、「少年」でR18をやろうと思ったら清野少年の女体化しかないのです。誰か!薄い本を!
↑一番愛してゐてくれて、何もかも許してくれるって、もう本当母親ですよね…。母親に添い寝を毎日してもらっていたような日々だったのかもしれません。
冒頭で「少年」関連は一区切りとか言っておきながら、記事が増えましたので次の記事↓
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