とうとう児童文学をも毒牙にかけます。
川端康成先生の児童文学「級長の探偵」の感想です。
当ブログでは川端先生の「少年」とか史実のブロマンスネタが取り上げられる率が異様に高いのですが、今回は「少年」も石濱も関係ありません。
関係ないけど一応貼っときます↓無駄に記事数が多い(※「少年」は⑱まで、石濱は④まであります)ので暇つぶしにもってこいです。未読の方はステイホームのお供にでも良かったらどうぞ。
県立図書館はパラダイス①(川端康成と石濱金作①) - うみなりブログ。
普通の児童文学をBL・同性愛の話題にしちゃつてゐますので、以下お気をつけ下さい。
突然ですが、皆様は妹萌えという言葉をご存知でしょうか。
Wikipedia先生によると川端先生は妹萌え文学の筆頭らしいのです。
え?そうなの⁈
そこで、川端先生の書かれた兄妹ものの小説が気になって検索していましたが、「キヤラメル兄妹」というタイトルを発見し、このタイトルなら間違いなく兄妹が出てくると思いましたので、新潮社の37冊組の「川端康成全集」の19巻を借りてきました。
兄妹が二人とも幼過ぎるので妹萌えには合致しなさそうでしたが、
ミルクキャラメルを推す兄とチョコキャラメルを推す妹は、普段から自分の推しを巡って喧嘩していましたが、停電した時に偶然入れ替わったキャラメルを食べて二人とも「おいしいね!本当はそっちのも一度食べてみたかった!」。普段から喧嘩を収めるため苦心していた母も兄も妹も皆ニコニコしました。完。
という超絶に可愛い小説でした。
Eテレの幼児番組を見た時のような心持ちになれますので、心が荒んでいる方にオススメいたします。
前置きが長くなりましたが、この小説が載っている19巻のトップバッターが「級長の探偵」でした。
なかなか読みやすそうでしたので読んでみました。
萌えました。
という三段活用です。折角なのでブログで推しておこうと思います。
以下ネタバレありのあらすじです。
一応子供向けの推理小説みたいなストーリーですので、ネタバレが見たくない方はご注意下さい。
主人公の文雄は小学六年生。クラスの級長をしています。
事前に準備されていた理科の実験道具が壊されてしまい、ある日の理科は全く別の実験になってしまいました。
先生は怒り、犯人に名乗り出るように言います。
文雄は、
①理科の実験の準備の手伝いをした小使の子供
②理科室に入れる級長の自分
がまず疑われるのではないかと心配しますが、もう一人、
③以前クラスの級長をしていて、不慮の事故で盲目になってしまった清一
がひょっとしたら犯人ではないかと考えます。
文雄と清一は親友です。文雄は盲目になった清一の為に学校で教わったことを毎日のように家まで教えに行っていました。
清一は盲目のはずなのに、何故か文雄が学校で喧嘩してきたことなどをピタリと当てます。
「見えなくても見えるんだよ」と笑いながら言う清一。
清一は盲目になってしまいましたが、教科書を聞いただけで暗記するような秀才で、「目が見える人には負けたくない」と沢山努力して普通に村中を歩いたり木に登ったり馬に乗ったりまで出来るようになりました。
その清一が学校まで来て、理科の実験を手探りででもしたいが為に壊してしまったのではないかと疑ったのです。
本当は親友の清一を疑いたくない文雄ですが、どうにも清一が怪しく、もし犯人だったら級長として先生に言わないといけないだろうかなどと考えると悲しくなり、しばらく清一の家にも行けなくなってしまいます。
ここから本当に犯人をネタバレします。
良いですか?
・
・
・
意外なことに犯人は校長先生でした。
学校で理科室を眺めるように立っていた清一を不憫に思って特別に実験をさせてやろうとしたところ、机をひっくり返してしまい実験道具が壊れてしまったのでした。
清一の疑いも晴れて、二人の友情は壊れることなく続くのでした。
完。
という内容です。
まぁ推理小説としては事件の真相が微妙っちゃ微妙で、川端先生ご本人も納得してなかったらしく、復刻版の出版にあたり難色を示したような経緯もあるらしいですね。
その辺の事情は隅にでも置いておきまして、さぁ、腐った要素をご説明しますよ!
まだ小学生ですし一応はブロマンス留まりですけど、もうBLに発展させたいくらい文雄と清一の二人が可愛い(*´Д`*)
二人の友情がめっちゃ良い感じです。
清一君は目が見えなくても、なんでも見えるんだから。ーーー文雄はそれ程にこの友だちを信じてゐるのです。
文雄は清一が盲目になってから級長になっており、クラスメイトから「清一が盲目になったおかげで級長になれて良かったな!」と揶揄された時に怒って喧嘩する程度には清一のことが大好きです。
とりあえず清一がめっちゃ良い子なんです。
家の仕事を手伝っていて稲の葉で両目を傷つけてしまい盲目になったという経緯なんですが、拗ねたり捻くれる訳でもなく、お母さんを元気づけようと明るく振る舞ったり、「目が見える人には負けないぞ!」とものすごく努力したりと、絵に描いたような真っ直ぐな良い子で素直に応援したくなります。
文雄はそんな清一に勇気を貰っていたり、清一が嬉しそうにしていると自分も嬉しくなったりと、まぁ、なんだ、その、ニヤニヤしちゃうような間柄なんですよ。ニヤニヤ(*´∀`*)
清一がまた何とか学校に行けるように応援しようとしたり、何とか清一の力になりたいと思っていて文雄もとても良い子です。
「キヤラメル兄妹」と同じく、Eテレの番組(こちらは道徳)にあってもおかしくないくらい二人ともめちゃくちゃ良い子😭✨
そして、こんな良い子の二人にはですね、手を握ったり、ラストでひしと抱き合ったりと肉体的接触もさりげなくあります。
本当に若干なんですが、それでも秋田雨雀先生の「同性の恋」の二人(成人済み)より触れ合っとるがな!!
手を握る以外には全く触れ合わない成人男性二人の男色物語、「同性の恋」についてはこちら↓
文雄は飛んで帰つて、清一をひしと抱きながら、
「清一君、許してくれ給へ。疑つて僕が悪かつた。」
「僕こそ、校長先生に御迷惑だと悪いと思つて、隠してたんだから、堪忍してくれ給へ。君の友情を失つたら、僕は心の光まで失ふところだつたよ。」
ラストの二人。
ストレートな親愛表現とセリフがたまらん…(*´Д`*)
いくら私でも、本当は児童文学をこんな目で見ることには罪悪感があるのです。
本当ですよ…( ;∀;)
が、もうもう駄目でした…このラストにやられました。
二人は今はまだ小学生ですしブロマンス留まりでも仕方ないですけど、あと数年したら当然BLな関係になりますよね?ねっ?
ということで、伸び代(何の)のある二人の今後に期待大です!
ブロマンス云々は抜きにしても、とても心温まる読みやすい児童文学でした。
私は↑の全集を図書館から借りて読みましたが、↓もあるみたいですね。
全集の方なら、冒頭に書いたEテレの幼児番組の原作(違)「キヤラメル兄妹」も一緒に読めます。
↑宜しければ、クリックお願い致します。