うみなりブログ。

アラフォー腐女子が、BL要素のある文学作品をイラスト付きでゆるく紹介します。日本近現代文学が中心。BL・同性愛的な表現が苦手な方はお気をつけ下さい。

「第一高等学校寄宿寮寮生名簿」から川端康成のクラス名簿を復元した話

こんばんは。

今日も生存と推し活に多忙を極めるなるみです。

現在、川端康成先生(若い頃)と石濱金作先生の推し活を行っておりますが、先日なかなかレアな資料を入手してものすごく暇人みたいなことなことをしましたので、一応ご紹介したいと思います。

 

はい、もう、お察しの通りです。タイトル通りのことをしました。

 

という訳で「第一高等学校寄宿寮寮生名簿」と川端先生のクラス名簿が気になる方は、宜しければ最後までお付き合い下さい。

 

 

今回入手したのは、「大正6年 第一高等学校寄宿寮寮生名簿」です。

 

そうです。2022年春の川端康成展で日本近代文学館に展示されてたやつです。モノホンです。詳しくはこちら↓

日本近代文学館「川端康成展」感想と大正5年川端日記メモ - うみなりブログ。

 

古書店のインターネットサイトで購入しましたが、大正6年としか書かれてなかったので9月に入学している川端先生在学時の確証が持てるまで何度も回りくどくメールで質問しましたが、最後にはド直球に「西寮十三番室(左側のページ)に川端康成の名前はありますか?」と尋ねました。

この時ほど"文学館で実物を見ておいて良かった!"と思ったことはありません。リアルに役に立ちました。メールでの質問に答えて下さった古本屋さん、本当にありがとうございました。

「西寮十五番室に石濱金作の名前はありますか?」でも良かったのですが、川端先生にしておいて本当に良かったです。その理由は後述します。(TVなら多分その理由の前にCMが入るやつ)

 

やはりレア資料なのでちょっと高かったのですが、「川端康成全集補巻一」よりは安く、「茨木高校百年史」よりは高かったです。(私以外の誰にも分からない情報)

 

でも、国立国家図書館を含めて一般人が手に取って拝めそうな所蔵が国内の何処にも無さそうだった為、奮発しました。

ショーケース越しにメモを必死で取った2022年の春の思い出を脳裏に浮かべながら、ここで誰かに先を越されて入手出来なかったら一生後悔しそうだとか考えてしまってからがもう…早かったです…オタクの悪いところが爆発しました。

 

という訳で購入したのですが、本当に買って良かったです…!

もう眺めてるだけでも面白いです。

 

 

シンプルな表紙。ボロボロです。

 

何も書いていない裏表紙。元の持ち主のメモが良い感じです。

 

背表紙にも何も書いてありません。

奥付なども一切なし。

 

 

川端康成先生のページ。(同室のメンバーも間違いなく故人ですが、個人情報が全人類に筒抜けの川端先生以外のメンバーの住所部分は一応加工。なんか設定がうまくいかずにモノクロになってしまいました…。)

日本近代文学館の川端展で展示されていた「一高寮名簿」は間違いなくこちらと一緒のものです。

川端展で私はそこまでしっかり目に焼き付ける余裕が無かったのですが、今回しっかり見たら川端先生は「一、一、三」に所属していることが判明しました。

凡例が無い為憶測にはなりますが、「一、一、三」は後ろの通学生のページではっきり「一部一年三組」と書かれていたので、恐らくクラスのことだと思われます。1年の時から同じクラスだったらしい石濱先生と鈴木彦次郎先生にも「一、一、三」と書かれているので、間違いないでしょう。

ということで川端先生は大正6年に第一高等学校で「一部一年三組」に所属していたらしいことが判明しました。

 

 

 

 

で、衝撃の事実が。

 

私、川端先生の部屋は六人部屋だと以前書いたのですが、次のページに後二人居たので八人部屋だったようです…。

この通り、第十三番室の続きで第十四番室の前に二人分名前があります。

 

石濱先生ーーっ⁈ 石濱先生が書いてた

私の部屋は大きく、十六人いたが、彼の部屋は小さく、六人切りであつた。(石濱金作「無常迅速ー青春修行記」)

と違うじゃないですか!

もしかして所属だけはしてるけど、普段寮には居ない学生とかも居たのかしら…?あと、すぐに退学してしまったとか…?なんか良く分からないのですが、とりあえず川端部屋の構成員は入学時には八人だったようです。

 

 

そして、石濱金作の方で問い合わせなくて良かった衝撃の理由が明らかに…!

 

 

〜CM 15秒×3〜

 

 

そして、石濱金作の方で問い合わせなくて良かった衝撃の理由が明らかに…!(※CM前の振りをCM後にもう一回流すやつ)

 

 

 

とりあえずこいつを見て下さい。

 


お分かりであろうか。

 

そうです、石濱金作先生の名前が石濱「重」作になっています。

 

石濱重作という人物が別に居たのかもしれないと一応全ページ確認しましたが、別に石濱金作の名前はありませんでした。

という訳で、石濱先生の名前で古本屋さんに問い合わせなくて本当に良かったです。

 

 

あと、鈴木彦次郎先生も彦「四」郎になっています。

第六次『新思潮』の帝大メンバー四人中二人が誤字られてるなんてすごい偶然です。

 

 

部屋の構成員がどのような基準で選ばれたのかまでは分かりませんが、何故か二年生10人以上の中に一年生が1人だけ配置されている可哀想な部屋もありました。

二年生以降は同じ専攻で纏められていたり、同じ部活動で纏められている部屋もありました。二年生になった川端先生は、同じクラスの石濱先生や鈴木彦次郎先生と同室になったそうなので同じ専攻で纏められた部屋に配置されたのだろうなと思います。

 

 

最後の辺りには教職員や寮務員の住所氏名もしっかり書かれていましたが、こちらの本に掲載されているのは名簿だけで寮の見取り図などは特にありませんでした。

 

また、川端先生の知人にアメリカ演劇研究者の清野暢一郎先生(「少年」の清野少年とは別人)がいらっしゃるのですが、清野先生はこの時には三年生の通学生だということも判明したりと、川端情報の大収穫祭です。

 

 

 

さてさて、タイトルの通り一部一年三組の学生のみをピックアップし、川端先生のクラス名簿を復元してみました…みましたが、復元するまでもなく一年三組のみならず第一高等学校生全員が載っている資料があったことが判明し愕然としています。チクショーメェェ> orz

こちら↓から見られます。

https://dl.ndl.go.jp/pid/940280/1/73

 

こちらによると、第一部一年三之組は「英文科」というくくりとなっています。

 

しかしながら、誰がどの寮に配置されていたとか原籍までは分かりませんでしたので、より詳細な名簿が完成したと自負しております。(負け惜しみ)

 

興味のある方は良かったらご覧下さい。画像が不鮮明なら申し訳ございません。万が一「私のひいおじいさんと同姓同名の人が居る!」というような方がいらっしゃいましたら、名簿に載っている詳しい住所等を個別にお伝え出来ますので是非コメントを下さい。

 

 

名簿は上で参考にリンクを貼った「第一高等学校一覧」に書かれている順に並べました。

五十音とか一切関係ないのでどういう順番なのかと少し考えましたが、石濱先生が7番目に居るので多分入試の順位だと思われます。

そしてその結果は私は全國(その當時は全國集合試驗だつた)文科志願者中第七番で勇壯活發に第一高等學校一部文科に入學したのである。

(石濱金作「入學試験前後」)

 

備考の「通」「南八」は名前と一緒に( )書きされていたものをそのまま書きました。「大正九年卒」は、川端先生と一緒に大正9年7月に文科志望として第一高等学校を卒業した人を国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できる第一高等学校の「卒業生氏名」↓から探して入力しました。

https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/1274888/1/108

大正10年に文科志望として卒業した人までは追いかけられましたが、転科してたり、何年も留年した後に卒業している人まではさすがに追いかけられませんでした。かなりの暇人ぶりを発揮したばかりで恐縮ですが、さすがにそこまで暇ではありませんでした。私より暇な人が調べて万が一コメントで教えて下さいましたら、有り難く付け加えて更新いたします。後は任せた!暇な人!!

色々間違っている可能性がありますので、変な風に広まったら困ります。無断転載は絶対におやめください。おばさんとのお約束だよ…!!

 

このクラスでは川端先生だけ大阪出身だと判明したり、この頃東京に家があった筈の石濱先生の出身地が特に原籍とも分けられずに淡路島(両親の出身地)になってたり、このクラスで鈴木彦次郎先生だけが朶寮[だりょう]という、普通の人にはなかなか読めない名前の寮に配置されていたりと色々面白い発見がありました。

 

たまに眺めて今後もニヤニヤしたいと思います。

 

あと、大正7、8年の川端先生の部屋のメンバーもこれがあればフルネームで特定出来そうなので、また暇があれば調べてみたいと思っています。

 

 

さて、気付いたらこのブログを開設して丁度2年経っていました。

ペースはゆっくりですが、同じような内容(BL文学の紹介と川端先生について調べたことなど)で書き続けていきたいと思っていますので、宜しければ今後もお付き合い下さい。

 

 

 

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